EC-CUBEをオープンソースにした理由 (1/2)
2006.9.1のリリースからもうすぐ3年になる、ECオープンソース「EC-CUBE」だが、今でも「なぜ、オープンソースにしたのですか?」といったご意見・ご質問を受けることがある。
結論から言うと、EC-CUBEのオープンソース化は、必然だったと考えている。
その理由をまとめてみよう。
1.Eコマースの今後
まず、ECサイトは、言うまでもなくEコマースの基盤にあたるものだが、EC市場の発展に対して、この基盤が限界に来ていると感じていた。
ネットショップには、地理的な制約(商圏という考え方)がない。このため、特徴がないと全く売れない。他にない商品力で勝負することができるメーカーは良いが、ほとんどの小売りはそうはいかない。そうすると、自然と価格勝負になる。しかし、価格勝負には限界がある。身近な実店舗に目を向けてみると、商品力、価格競争力には大差がない店舗でも、生き残ることができている。これは、ネットと違って地理的制約に守られていることもあるが、店舗で提供しているサービスが、商品だけでないことによるためだろう。お客様は、自動販売機のように商品のみを買っているのではなく、その店の雰囲気や店員との会話まで含めたサービス(おもてなし)を選択しているからだろう。こうしたことから、今後、Eコマースにおいても、こうした「おもてなし」の時代が来ることは間違いないと感じていた。
しかし、当時のECサイト構築手法では、「おもてなし」を実現することは、非常に難しかった。とういのも、商品を登録すればすぐに始めることができる「ASP型」か、要望を聞いて個別に開発する「開発型」しかなく、前者はコストを抑えられるが、柔軟性が皆無であり、後者は、柔軟性は高いが、コストや工期の問題から誰でもが手を出せるものではなかった。
そこで、ASP型のように誰でも簡単にはじめられて、必要に応じて開発型のように手軽にカスタマイズすることができるといった、ハイブリッドなECサイト構築手法が求められていることは明らかだった。そして、オープンソースなら、実現できそうだった。
2.オープンソースの潮流
インターネットが普及し、ソフトウェアの提供形態が大きく変わろうとしてきていた。そのひとつがオープンソースだ。
ソフトウェアは、ネットを通して、無料で流通させることができるようになり、フィードバック(改良・開発)もネットを通して行うことができるようになった。よほど高度なものを除いて、汎用ソフトウェアは、オープンソース化が自然な流れではないだろうか。
参考まで触れておくと、配布不可能な汎用ソフトウェアは、SaaSが適していて、特殊なソフトウェアは、コンサルティングから入る高付加価値のソリューション型が残るのが自然な形だと予測している。
3.国産オープンソースの必要性
オープンソースの潮流といっても、国産オープンソースは苦しい戦いを強いられている。なぜなら、ソフトウェアの品質は、コミュニティに参加するエンジニアによる。このため、世界共通で使われるソフトウェアは、英語圏で開発した方が圧倒的に有利だ。実際、OS,データベース,プログラム言語,オフィスツール,CMSなど、国内で使われているオープンソースも、大半が英語圏で生まれたものだ。しかし、ことECに関して言えば、話は変わる。モバイルコマースがわかりやすいが、日本ならではの文化があり、国産に分がありそうだ。
4.オープンソースソフトウェアの捉え方
当時、すでに、有名な「ECオープンソース」が2つ存在していた。しかし、それほど意識していなかった。というのも、ソフトウェアに対しての捉え方が根本的に異なっていたからだ。オープンソースソフトウェアとは、文字通り捉えれば、ソースコードが開示されたソフトウェアを意味する。無償だが、すべてが自己責任。ここには、腕のあるエンジニアしか寄せ付けないという印象がある。
オープンソースが一部の限られたコミュニティのものであった時代は、こうした考え方が適していたと思う。個人的にも、2000年頃まではエンジニアを志向していて(Linuxのkernelが2.0で、Slackwareが主流だった頃)、オープンソースを使って問題を解いていくことに楽しみを感じていた。当時は、コミュニティの参加者はほとんどが実名で、今にして思えば牧歌的な印象さえある。当時の世界が嫌いなわけではない。ただ、ネットの人口が増えて、「オープンソースとはこういうものだ。」と、高い参加資格を求めるのではなく、もっと身近なオープンソースが求められはじめていると感じた。
そこで、EC-CUBEでは、新しい時代のオープンソースのあり方について考え、オープンソースソフトウェアを中心として、ショップ運営者、エンジニア、デザイン会社・開発会社、ホスティング事業者、カード決済やメール配信、物流といったEC関連サービス事業者、など、多くの関係者によって形成される「環境」を目指した。